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NPブログ 2026/03/03

理想と現実の狭間

こんにちは。JADECOM NP研修生の武田です。現在東京ベイ浦安市川医療センターで研修をさせていただいております。

写真は毎朝開催されるモーニングレポートの様子です。夜勤で入院した患者さんのプレゼンをします。この写真の時は初めてで、非常に緊張した記憶があります


そのような日々の現場で、立ち止まる瞬間があります。


私たちが向き合っているのは、病名や検査値ではなく、目の前で困っている患者さんその人なのだということを、改めて考えるときです。


たとえ短期記憶が保てない認知症の患者さんであっても、その瞬間に感じている不安や苦痛は本物です。「すぐ忘れてしまうから」と受け流すのではなく、いまここにある気持ちに向き合うこと。その積み重ねが、ケアの土台になるのだと思います。


私は大学院で意思決定支援のテーマの研究を行いました。意思決定の目的は「決めること」ではなく、「本人が納得して選ぶこと」も重要です。しかし、理論として理解することと、実践の中で体感することは、やはり違いました。


当院で診療に携わる中で、医学的なプロブレムだけでは整理できない場面に何度も出会います。独居や経済的困難、家族関係の葛藤など、社会的な背景が治療の選択に大きく影響する患者さんも少なくありません。退院が決まっても、それで終わりではなく、生活の場で新たな揺れが生まれることもあります。


そのような中で、私は「生活の言葉」を丁寧に拾うことを大切にしています。


「家に帰りたい」「孫の入学式までは頑張りたい」「家族に迷惑をかけたくない」「これ以上つらい処置はしたくない」――そうした何気ない言葉が、その人の価値観を映し出しています。ACPは、特別な場で突然始まるものではなく、こうした日常の対話から少しずつ形づくられていくものだと感じています。


忙しい現場では、数値や手技に意識が向きがちです。それでも、「これは本当に患者さんの生活につながっているだろうか」と自分に問い続けることを忘れたくありません。病名や数値は大切な手がかりですが、あくまで手段です。


目的は、その人がいま困っていることを少しでも和らげ、その人らしい時間を支えること。


私はNPとして、生活に根ざした対話を重ねながら、患者さんとともに考え続けていきたいと思います。


私のPHSです。撮影時は腎臓内科をローテーションしており、それを象徴するかのようにダイアライザーのキーホルダーをつけていました