
GIM-NPプログラム2期生の康由梨(かんゆり)です。今回は、私が所属する奈良市立都祁診療所とNPとしての新たな試みについて紹介致します。
都祁とは一体どこ?と感じる方が大半かと思います。奈良の大仏,奈良公園の鹿のイメージが強い古都奈良の中心地から東の方に山道を登ると、標高200〜500m程度の大和高原地帯が広がり、その中の一部に都祁があります。奈良市内よりも気温は低く、冬には雪が積もる日もあります。
都祁に暮らす住民は5000人程度で、都祁診療所は都祁地区の中の唯一の医療機関です。田舎の中では珍しく所長の西村先生はじめ、専攻医3名,眼科や非常勤の整形外科医師が在籍し、研修医や実習生の受け入れを行う等、教育機関としての役割も担っています。IT化も進んでおり、診療の質向上の為に革新的な取り組みをしている診療所です。

その中で、私はNPとして働き始めてちょうど1年が経過し、外来診療や施設訪問診療,在宅の緊急往診等、NP業務は診療所内外に及び多岐にわたります」。診療所の患者層は、65歳以上の高齢者が大半でMultimorbidity(マルチモビディティ)や社会的な問題を抱える方など、多種多様な方がいます。また、都祁を含む奈良市東部の大和高原エリアでは、要介護認定率が高いという健康課題があります。
そのような背景から、診療所内で新たにNP外来枠を創設し、高齢者の包括評価や介護予防への取り組みをはじめているところです。この1年で自身の医療との向き合い方も大きく変化していると実感しています。急性期病院にいた頃は、1対1の個別アプローチが中心でしたが、地域医療を担うなかで、ポピュレーションアプローチを意識した取り組みについても考えるようになりました。

まだまだNPとしての課題は多数ありますが、5年〜10年後の住民の健康アウトカム改善に寄与できるよう、NP外来の運用を本格化させることが、来年度の私の目標です。
地域の健康課題やNP外来の詳細についてはまた次回以降紹介できたらと思います。