
NPブログ1月号を担当しています、GIM−NP3期生の港川愛里です。私は今、東京北医療センターの総合診療科で2年目最後の研修を行なっています。
今回のNPブログでは地域研修で学んだことついて皆様にお伝えします。
2024年7月からの3ヶ月間、岐阜県の山間部にある揖斐郡北西部地域医療センター久瀬診療所と山びこの郷で地域研修を行いました。揖斐での地域研修では、老健施設である山びこの郷に入居している利用者さんの健康管理や疾患マネジメント、生活支援などを行っています。久瀬診療所では訪問診療や訪問看護に同行し、日々の暮らしの中で患者・家族が疾患をもちながらどう過ごし、医療者がどのようにサポートしているのかを学びました。
久瀬診療所で印象に深く残っているのは、研究に参加していただいた、90歳代の慢性心不全、心房細動がある患者さんのAさんです。揖斐ではNPと医師が協働して心不全管理を行うことで、地域住民の健康管理への寄与や医師のタスクシフトの可能性を検討する研究を行いました。NPが自宅で心臓超音波検査を行いながら、遠隔で医師のサポートを受けつつ、心不全管理を行います。
Aさんは畑仕事などをしながら診療所へ通院している方ですが、時々通院が途切れていることがありました。経過の中で、エコー所見が悪くなっていることがありその原因として服薬が途切れていたことがわかりました。Aさんは、「自分ができることは最後まで自分でしたい」、「自宅で自分のやりたいことを続けながら暮らしたい」との思いがあることから、心不全が悪化することなくサポートをするには?と考え、訪問日には自宅の環境調整、訪問日以外にも、自宅へ伺い服薬カレンダーを作成するなどのサポートを行いました。
自宅へ訪問する回数が増えるにつれ、栗拾いに一緒に行ったり、キウイ畑ではキウイ狩り、自宅庭のブルーベリー狩り、そして、家族の思い出話や表彰状を見せていただいたりとその人の人生と暮らしもみることができました。暮らしや人生観を見聞きし、その人の生活に沿ったサポートができたことが一番の学びとなりました。

老健施設山びこの郷では介護士が看護師より多く働いております。今回、初めて介護士さんの働きを見ることができ、そこで感じたのは、介護士の皆さんは個々のスタイルに応じた生活支援を行っていることです。私たち看護師も生活のケアを行いますが、介護士はより深く利用者の思い、家族の思いを盛り込みながら利用者の生活に視点を当てて、細かな支援を提供していました。介護士とともに生活支援と健康管理を行うことで地域に根差した支援を考え、学ぶことが多くありました。
施設では多職種で利用者をサポートし健康管理、生活支援を行います。多職種の視点を学ぶことで視野も広がること、互いに知識共有することで分断されずより連携した支援が提供できることを再確認しました。
JADECOMのNP研修には地域研修も含まれており、地域で暮らしている方をサポートするための多職種連携や地域連携も学ぶことができます。ご興味のある方は是非お問い合わせください。