筑井菜々子です。現在私はNPとして臨床で働きつつ、聖路加国際大学の大学院生でもあります。
大学院では看護学研究科のDoctor of Nursing Practice(DNP)コースで博士論文を執筆中です。DNPコースの特徴としては、博士号を持った高度実践の変革者を養成することであり、実践志向の専門看護師は、PhD課程(研究者養成)では教育が困難であることが多いため、実践に焦点をあて、研究成果を利用できる学位となります(博士後期課程(看護学専攻 DNPコース)|聖路加国際大学 )。
いわば、事件は現場で起こっている!臨床と研究をリアルにつなぐことで研究も生かされるし現場も変わる!という事だと思います。これは画期的なことだと思い、ワクワクしているのですが、なんせ二束のわらじを履くことの大変さもあります。リアルな私の日常をお話します。
2024年12月は博士論文との戦いとなりました。なぜなら最終提出日の12月10日に向けて仕事と論文の両方に追われていたからです。
しかもこの時期、医師達はCovid19とインフルエンザに襲わればたばたとお休み。やたら免疫力と体力のある自分は“コホン”とも言わず、働きまくる日々でした。
総合内科のNPは入院から退院まで継続して受け持ちとなる患者さん達がいるため、なにかあれば当然対応に時間もかかります。夜間も病院内の小部屋に引きこもり、論文を書き進める毎日でした。
寝袋をもち椅子を3つ並べて寝る日々、あれ?なんだか懐かしい。これはまさに自身が若き日に海外を放浪したバックバッカー時代と同じ!なんともノスタルジックな気分に浸ります。しかし、51歳になった今も同じようなことをしている自分に少しの不安と腰の痛みを感じながら、椅子を並べて眠る日々でした。
結果をまとめ結論と考察を書き終えたと思いきや、引用文献や図の訂正が残っている、これが思った以上に時間がかかる。眠い、でも締め切りまでにもう時間がない、何度も何度も入る訂正をくじけずに直した結果、何とか提出にこぎつけることができます。提出は締め切りの8分前!何をするにもぎりぎりな私ですが、さすがにこの8分前は本当に大丈夫かあまりにも心配で、震える手でEnterを押すと論文は大学に飛んでいきました。ここ最近の一番の苦行、それがこの論文提出でした。博士論文は自分との闘いなのです。
このように、私にとって博士論文の執筆は並大抵のことではなく、大変な日々です(まだ最終提出まで行っていないため、現在進行形)。しかし、みなさん、想像してみてください!臨床のリアルな問題をとりあげて研究して現場に返す、そして臨床が変わることを。その先にはいつも患者さんがいます。
大好きな現場をもっともっと良くすることが出来る研究なのです。臨床は病気とともに生きている患者さんがいて、家族がいて、医療者がいて、医学や看護がある。臨床は常に正直で、泥臭くて人間臭いところです。
DNPはそんな現場の問題点を変えることができる未来のある研究なのです。私のように要領の悪い人間でもどうにかなります、DNPの知識と技術を教えてくれる大学の先生方や仲間たちがいますので大丈夫です。
是非、臨床が大好きな皆さん、DNPで学ばれることをお勧めします。現場と研究の解離を埋めていける、そんな気がしています!